今週は「大地の子」の第三部分、「黒災」と「長城」を見た。著者の山崎さんが描写した文化大革命はまるで目の前にあったように真実感を持っている。今回私は述べたいのは、文化大革命の傷跡(きずあと)の一つ・奪われた人間の信頼関係だと思う。
陸一心が冤罪で逮捕された時あった告発集会 |
したがって、告発集会のような行為を勧めたのは、とても残酷だったと思う。人間の弱さを利用し、統制者にとって効果がいいツールだったが、本質的に人間性を滅殺する手段のではないだろうか。それは独裁政府(例えばドイツのナチ)がよく使った手段だが、実際人民の支持を得ることができないだろう。しかも、もし人間がお互いの信頼関係を失ったら、その社会も大変な不幸になると思う。
それ以外、告発が中国人の伝統道徳に違反したのだ。中国社会は何千年前から清朝までずっと儒教を信仰していた。孔子は仁を最高の徳目としていた。「仁」とは、主に「他人に対する親愛の情、優しさ」を意味しており、儒教における最重要な「五常の徳」のひとつだった。人民の支持を得られる手段は仁義(じんぎ)しかないという論説もあった。儒教は現代社会に応用できない部分がたくさんあるが、「仁」の重要性がまた応用できると思う。つまり、人民の支持と民族の団結を得られるのは刑罰でなく、仁義である。仁義は人間の信頼関係を基づいているものだ。告発集会などのような文化大革命であったことは人間の信頼関係を奪った上に、この民族の仁義も奪ったので、大変な傷跡になっていたのだはないだろうか。
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