2012年4月8日日曜日

鋼鉄会社のモデルから見る中国の中央企業

今週は「大地の子」・4を見た。

先週著者の山崎さんが文化大革命をよく描写したことについて感想を書いた。今週のエピソードで気になったのは、山崎さんは鋼鉄会社の業務もよく描写している点だった。まさかモデルがあるかなと思って調べてみた。

ドラマの中で描写された上海に建設された新しい鋼鉄会社は、実際宝鋼集団有限公司という上海にある鋼鉄会社だ。証拠は「上海で建設する新しい鋼鉄会社」と「日本からの技術支持をもらった」という二つの点だ。技術支持の東洋製鉄のモデルは、新日本製鐵という有名な会社だった。ドラマの中で東洋製鉄の社長から会長になった稲山会長という「周恩来総理の友」は、実際稲山嘉寛という新日本製鐵の社長だった。彼が退任した時、ドラマと同じように「第5代経済団体連合会(経団連)会長(1980年 – 1986年)」になった。宝鋼集団の「高炉火入れ」は1985年9月のことだったので、ちょうどドラマの中で延期された高炉火入れの時間と同じぐらいだろう。

私が興味を持っているのは、鋼鉄会社のモデルだけでなく、中国国有企業の発展だ。中国の国有企業は、大体中央企業と地方企業の二つの種類に別れている。宝鋼集団は中央企業なので、北京からの支援をたくさん貰った。どうして中国が中央集権的な発展方法によって、二十年間で世界第二の経済大国になったかというと、中央企業が大きく貢献したからだと思う。例えば、建設されてから四十年ぐらい経った今、宝鋼集団は世界八位の大きい鋼鉄会社になっている。それは多分著者の山崎さんも考えられなかったと思う。

このドラマにある中日談判は両方の個性がよく描写されていたので、中国企業の特徴もよく出ていた。どうして中国の中央企業がそのように速く発展できるかというと、このドラマから見ると三つの理由があると思う。まず、現金をたくさん持っているので、世界一流の施設を買うのは問題なし(談判した時、現金で全部を一回払うので、二割安くなっただろう)。そして、住民を移転させるのは他の国より簡単なので、敷地の問題もなし。しかも、人件費が安いし、また多いので、普通二年間の建設は一年間で終わることもできる。したがって、「大地の子」は歴史だけでなく、経済的に細かいことも大局的なこともよく描写していると思う。そのため、「大地の子」は政治的に歴史の問題を描写する上に、また経済的に現実感もあるのではないだろうか。

前の相関文章:
大地の子3・文化大革命の傷跡・奪われた人間の信頼関係
中国の経済発展・利益共有はもっと大切だ

4 件のコメント:

  1. 人情ドラマからも経済的な洞察を得るのはすごいですね^^今の中国の国情は90年代から変えてきましたが、たいていは同じですね。現金をいっぱい持つのも、人口が多いのもそうですね。人力はもう昔よりずっと高くなってきたため、もうすぐ「世界の搾取工場」の運命とさやならかもしれません。

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    1. ハハ。この中央企業は上海でとても有名ですから、初めから「華宝」という名前を見た時気づきました。「東洋」と「新日本」の意味もとても近いので、「東洋製鉄」対「新日本製鐵」もよく似合うでしょう。^^中国の経済モデルの転換は今進んでいますが、もしすぐ「世界の搾取工場」の運命とさようならとしたら、海岸線工場に対し大きいショックになるかもしれません。今中国経済のゆっくりペースも現状によって合理なクールダウンでしょう。

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  2. 私もこのドラマを見ながら作家が凄く細かいところまでよく調査したなと思いました。一回払いで製鉄所建設資金を現金で払うシーンは特に印象的でしたが、これが湯動くの特徴でしたね。中国が膨大な金額の現金を保有しているのには特別な理由があるのですか?

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  3. 「大地の子」はこんなに細かい事をちゃんと研究して注意しながら人情の話を描くのは本当に素晴らしいと思います。この細部への注意から、ドラマの演出家がどのぐらいドラマが伝えているメッセージを信じているという事が分かると思います。

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