2012年10月24日水曜日

冨樫の長い文はなぜ読みやすいのか (for fun)

先日載せた翻訳の例は冨樫義博の「ハンターハンター」から選んだ文でした。その例を探した私は、とても面白い文を見つけました。その文の一部を皆と一緒にシェアしたいと思います。
ちなみに、当時は「HUNTER×HUNTER」が2年近い休載から復活したばかりの頃なので文章もそれらしいものになっています。相変わらず上手い。これだけの文章量を「読まされてしまう」。この感覚も20ヶ月ぶりか…。以前から冨樫作品はどんなに文章量が多くてもそれを「長い」とか「読みにくい」と感じたことは無くて、むしろスラスラと読まされてしまうですよね。それは何故か、ってのを自分なりにちょっと考えてみた。要因は主に3つ。 
要因①:セリフの二分割 
一つ目の要因はセリフを一つのコマに二分割しているから。今週のだけ見てみても、かなりの割合でセリフが二分割されていている。今週のジャンプの P267なんかはその最たるもので、わざわざウェルフィンの顔を右目と左目、口の三つのカットに分けた上でそれぞれセリフを二分割している。まあ『二分割』という表現が正しいかどうか正直自分でも微妙なところなんですが、でも他にいい言葉が見つからなかったので…。要するに左右にセリフを展開しているってことです。
二分割と言っても上と下ではなく、必ず右と左に二分割。これらから推察できるのは、右と左に二分割するのが漫画にとって一番読みやすい形式だってこと。なんでそれが一番読みやすいのかと言うと、漫画とはページの右上から左下へ読むようになっているからではないでしょうか。そういった漫画独特の特性を利用してるわけです。
(中略)  とまあ、ここまで語っておいてなんだけど他の漫画も基本的には右と左に二分割している。漫画制作の上で基本的なことだとは思うけど、でもここまで徹底している漫画は少なくともジャンプでは「HUNTER×HUNTER」だけ。
要因②:短文の連続二つ目の要因は、右と左のセリフでそれぞれ文章が一度完結しているという点。冨樫作品では全体的にどんなに文章量が多くても一つ一つの文章量は至って普通。むしろ少ないくらいかもしれない。つまり、短い文章を連続して読んでるってことです。(ちゅ
要因③:俳句のリズム(中略)読むリズムに関して冨樫作品が他のジャンプ作品と一線を画しているのは、一つ一つの文章(セリフ)がテンポの良い字数で形成されているという点。「テンポの良い字数っていくつだよ」と思う人もいるかもしれませんがそれはズバリ『五』と『七』です。そう、つまり俳句です(もちろん短歌や川柳も)。(中略)あと関係ないかもしれませんが「かめはめ波」とか「アバンストラッシュ」とか(笑)。いつまでも覚えている言葉というのは、何度も読んだり聞いたりしているから覚えているのだけではなく、こうして良いリズムが形成されてたりしていることが非常に多いです。他にもたくさんあるので探してみると結構面白いですよ。
もし全文に興味があったら、リンクはこちら
http://manganokokoro.blog73.fc2.com/blog-entry-834.html 

1 件のコメント:

  1. なるほど、そんなく工夫があったんですか!鋭い観察ですね。漫画もいろいろな試行錯誤がなされて作られているんですね。そして、日本の古い文化が継承されているんですね。日本では漫画が大衆文化として低く評価されているように感じます。suasanさんのように、漫画という新しい日本の文化をどんどん評価していくべきだと思います。

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